築300年の本殿(奥)や拝殿(手前)が倒壊した木山神宮。矢田吉定宮司が片付け作業にあたる=熊本県益城町
熊本地震では多くの寺や神社が倒壊した。過疎化や高齢化で檀家(だんか)や氏子が減る中で起きた震災。寺社の再建には資金が必要だが、文化財を除けば公的な補助も期待できない。被災者に寄付を募るのも心苦しいとして、住職や宮司は頭を悩ませている。
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2度の震度7に襲われた熊本県益城町。役場近くに1185年の創建と伝わる木山神宮がある。秋祭りには神楽が披露され、初詣や七五三の参拝者も多い。地域の中心だが、町指定文化財で築300年の本殿や拝殿などが倒壊した。矢田吉定(よしさだ)宮司(65)は「壊れるなんて想像もしなかった。信じられない」。
本殿の裏にある自宅も全壊し、長男の家に身を寄せる。1回目の揺れの後、本殿のご神体を白い布に包んで別の場所に移した。今後、仮の小さな社殿を建てて参拝できるようにする。仕事帰りに毎日参拝するという40代の女性は「ここにくると気持ちが落ち着く。何とか再建してほしい」と話した。