詩を朗読する吉永小百合さん
平和を願う小さな集会。初めて読み上げた原爆の詩に胸打たれ、「読み続けていかねば」と思った。それから30年。俳優の吉永小百合さんが3日(日本時間4日)、カナダ西部のバンクーバーで原爆の詩や原発事故に見舞われた福島の人々の詩12編を朗読した。吉永さんとピアノ伴奏した音楽家の坂本龍一さんが次世代へ伝えたのは、「核なき世界」への願いだった。
核と共存できない 坂本龍一さん伴奏「吉永さんに共感」
特集:核といのちを考える
朗読会は「The Second Movement in Canada」(カナダにおける「第二楽章」)と題し、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)で開かれた。核兵器と原発による「核」の被害を受けた日本から発せられたメッセージ。聴き入った学生ら約200人は様々な思いで受け止めた。
■若い世代へ、原爆も福島も
新緑がまぶしいバンクーバー。世界から学生が集うUBCの円形ホール「チャン・センター」の舞台に、白いジャケットに身を包んだ吉永小百合さんが現れた。
《ちちをかえせ ははをかえせ》
原爆詩人・峠三吉の「原爆詩集 序」を読み始めた吉永さんの声が、静かに、そして、ゆっくりと広がっていく。
《Give me back my father
Give me back my mother》
日本語に続いて、英語でも朗読した。一つ一つの言葉が学生らの心に刻まれるように、その声は会場に響きわたり、染み込んでいった。