ピアノで伴奏する坂本龍一さん
「核と人類は共存できない、という吉永さんの強い信念に共感します。将来、人々が核兵器や原発に苦しまないことを願います」。坂本龍一さんは吉永さんを迎える舞台で、学生らに英語で語りかけた。
非核願い、吉永さんが読んだ12の詩 学生「心震えた」
特集:核といのちを考える
坂本さんは約50曲の譜面を携えてバンクーバーへ。ところが「リハーサル中、(吉永さんが朗読会の前半に読む)原爆詩のところで即興をしようという曲が浮かんで」。それは譜面を持ってきていなかったバッハの「コラール」だった。これをもとに急きょ譜面を書き、厳粛な旋律を奏でた。
後半の福島の詩の朗読では子どもたちの顔が浮かんだ。5年前の震災で楽器が壊されたり、津波で流されたり……。つらい経験を持つ東北の子どもたち103人による「東北ユースオーケストラ」を立ち上げ、指導にあたってきたからだ。
原発事故のあと、放射線との因果関係については見方が分かれているが、福島県では甲状腺がん、あるいはその疑いがあると診断された子どもは167人(福島県民健康調査)。オーケストラメンバーの7割も福島の子どもたちだ。