落下した橋桁(奥)にふさがれた国道176号=18日午前11時2分、神戸市北区、山崎輝史撮影
神戸市北区で架設中の新名神高速道路の橋桁が落ち、作業員10人が死傷した事故から1カ月近くがたった。西日本高速道路(NEXCO西日本)は、国道176号をふさぐ橋桁の撤去を13日から始めたが、国道の通行再開は2カ月以上先になる見通しだ。長期化で地元や周辺住民の生活への影響は深刻化し、新名神の工期の遅れも必至だ。
■復旧2カ月以上先
事故は4月22日に発生。国道176号と有馬川を東西方向にまたぐ橋桁(長さ約120メートル、重さ約1350トン)の西側が約15メートル下に落ち、国道176号をふさいだ。西側を支えていたジャッキ4基のうち2基も崩れ落ちた。
工事は三井住友建設と横河ブリッジの共同企業体が受注し、事故の工区は横河ブリッジが担当した。NEXCO西日本によると、橋桁を水平にスライドさせて仮設台に置き、両端をワイヤでつりながら橋脚などに固定する工法が採用された。NEXCO西日本は専門家による技術検討委員会で事故原因を調べているが、特定できていない。
一方、撤去工事は同社の担当者が「前例を知らない」という工法だ。橋桁の下に仮受け設備を入れ、水平にずれないようにワイヤで固定。橋桁をガス切断機で東側、中央、西側に大きく3分割し、まずは国道をふさぐ西側を細かく切り分けて運び出す。傷んだ国道の路面や設備を復旧させる――。ここまでの工程で2カ月かかる予定だ。
川をまたぐ中央部分の撤去開始は梅雨を避けて夏以降とし、東側はその後になる。事故原因を究明して対策を施さなければ新たな橋桁を架けられず、今年度中の予定だった新名神の高槻―神戸間の完成時期は見通せなくなった。(広島敦史)
■田植え時期、農作業に影響も