エジプト航空機が消息を絶った場所
パリ発カイロ行きエジプト航空804便のエアバスA320型機(乗客56人、乗員10人)が19日未明(日本時間同日朝)、地中海上空でレーダーから消えた。ロイター通信はギリシャの国防省関係者の話として、同国軍の船がギリシャ南部クレタ島の南数百キロの海上で、二つの大きな赤白のプラスチックの破片を見つけたと報じた。同機の可能性がある。
エジプト航空機、消息絶つ パリ発カイロ行き
エジプトのファトヒ民間航空相は会見で「技術的な問題よりテロの可能性の方が高い」と述べたが、決定的な根拠は得られていないとした。
エジプト航空などによると、同機はシャルル・ドゴール空港をエジプト時間18日午後11時9分(日本時間19日午前6時9分)過ぎに離陸。約3時間20分後に地中海上空を飛行中に消息を絶った。ギリシャのカメノス国防相によると、エジプトの飛行情報区に入って約20キロの地点でレーダーから消える直前、左方向へ90度、さらに右方向へ360度回転し、高度約1万1千メートルから約3千メートルまで急降下したと述べた。
乗客の国籍はエジプト30人、フランス15人、英国1人など12カ国。在エジプト日本大使館によると日本人がいるとの情報はない。
エジプト航空によると、同機は2003年の製造。機長は6275時間の飛行経験があり、うち2101時間はA320型機の操縦にあたった。A320型機は1988年に運航を開始。現在全世界で約6700機が就航している。
エジプトでは昨年10月、東部シナイ半島シャルムエルシェイクを離陸したロシアの民間機(乗客・乗員224人)が同半島に墜落。過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出し、ロシア政府は機体に積まれていた爆発物によるテロだと断定した。エジプトの空港警備態勢の不備が指摘され、各国の航空会社がエジプトへの乗り入れを一時中止した。治安当局筋による情報として空港関係者が爆発物の積載に協力したとの報道があったが、エジプト政府は否定している。
今年3月には北部アレクサンドリア発カイロ行きのエジプト航空機が乗客の男にハイジャックされ、キプロスに着陸した。テロとの関係はなかった。(カイロ=翁長忠雄、ローマ=山尾有紀恵)