ユネスコ(国連教育科学文化機関)世界文化遺産への推薦を日本政府がいったん取り下げた「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」について、長崎県の「長崎世界遺産学術委員会」は、長崎、熊本両県の14の構成資産のうち長崎県内の2資産を「禁教期との関連が薄い」として除外する方針を決めた。文化庁に出している推薦書素案を修正し、今夏の文化審議会で国内候補に選ばれることを目指す。
除外されるのは、日野江(ひのえ)城跡(長崎県南島原市)と田平(たびら)天主堂(同県平戸市)。ユネスコの諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)は今年1月、構成資産について「禁教の歴史的文脈に焦点を当てて見直すべきだ」と指摘。長崎県は14資産について禁教期と結びつけた新たな推薦書案を作成したが、イコモスの助言を受けながら県などが見直しを続けていた。
日野江城跡は全国に禁教令が出された1614年以前のキリスト教伝来初期のキリシタン大名の居城。また田平天主堂は禁教令が解かれた1873年の後、外国人神父の指導で、移住してきた信徒によって建てられた。関係者によると、21日にあった学術委で、いずれも「禁教期と関連が薄い」と判断されたという。近く開かれる、構成資産がある自治体の首長らを集めた会議で見直し案を示し、了承を得る。
今年の世界文化遺産の国内候補は他に、大阪府の百舌鳥(もず)・古市古墳群、新潟県の佐渡金銀山、北海道・北東北の縄文遺跡群があり、このうち1件が選ばれる。