プロ通算100度目の1試合3安打以上を記録した西武・栗山(右)。試合後、ファンの声援に帽子を取って応える
■スコアの余白
長く第一線で活躍できる理由を実感した。プロ15年目に突入した西武の主将、栗山の話である。
スコアの余白
5月21日、西武はソフトバンク相手にサヨナラ勝利を挙げた。1点を追う八回、栗山は2死一、二塁から右前へ同点適時打を放った。対戦経験の少ないスアレスのフォークをとらえ、試合を振り出しに戻した。お立ち台では「何とかやってやろうと思った」と充実した笑みを浮かべた。
実はこの一打で、プロ通算100度目の1試合3安打(以上)を達成していた。パ・リーグでは、今季開幕前まで史上37人しか達成していない記録だ。
この日は一回に右中間二塁打、三回には左前安打し、記録に王手をかけていた。2005年から12年連続で1試合3安打をマークしている栗山。しかし、本人は把握していなかった様子で、報道陣から伝え聞くと「ホンマですか。そんなにできるとは思わなかった。嫁に自慢します」と驚き、素直に喜んでもいた。
この試合は、いつも以上に「頑張る気持ち」も強かった。自身が取り組んでいる社会貢献活動の一環で、小児がんの子どもと家族7組20人を本拠に招待していた。試合前には記念撮影にもおさまり「(安打が)3本も出たし、喜んでくれたと思います」。
子どもたちの前で偶然にも節目の記録を達成できる引きの強さ。「持っている選手」であることが、今も輝ける秘訣(ひけつ)なのだろう。(遠田寛生)