中国陝西省の遺跡から出土したビール製造に使われたとみられるじょうご=米科学アカデミー紀要提供
約5千年前の中国・黄河文明の遺跡で出土した陶器片などの分析から、当時大麦やキビを原料にビールを醸造していたとみられることがわかった。ビールは、6千年以上前のメソポタミア文明が発祥とされるが、古代中国でも大麦を使った本格的な味を楽しんでいた可能性が高いという。
米スタンフォード大と中国などの研究チームが23日、米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。
論文によると、黄河文明の一つ仰韶(ぎょうしょう)文化(紀元前5千~同2900年)に属する陝西省西安市郊外の「米家崖(ミーチアヤー)遺跡」から出土した陶器類と残留物を分析した。
陶器は紀元前3400~同2900年に作られたもので、残留物はキビや大麦、イネ科のジュズダマ(ハトムギ)に由来するでんぷん類とわかった。これらの穀類に、ウリ科やユリ科の植物の塊根などを少量加えて発酵させ、じょうごで濾過(ろか)した後にかめに貯蔵していたらしい。ビール醸造でできるシュウ酸カルシウムなどの化学物質も確認された。かまどの破片も見つかっており、発酵しやすくするために温めていたとみられるという。