丸の内署に入る三菱電機元社員の渡辺勇治容疑者=8日午後6時44分、東京都千代田区、坂本進撮影
新幹線のネット予約システムの保守業務を架空発注し、勤務先の三菱電機(東京都千代田区)に代金として支払わせた約2千万円をだまし取ったとして、警視庁は8日、同社元社員の渡辺勇治容疑者(58)=千葉県習志野市=を詐欺容疑で逮捕し、発表した。容疑を認めているという。
三菱電機の調査では、2013年までの数年間に架空発注による約4億6千万円の被害があり、警視庁は、渡辺容疑者ら複数の社員が関わっていたとみて調べている。
捜査2課によると、渡辺容疑者の逮捕容疑は09年5~8月、三菱電機がJR東海(名古屋市)から請け負った新幹線のチケット予約システムの保守業務の一部を、東京都内にある知人の会社に外注したように装い、業務委託費として約2千万円を支払わせて詐取したというもの。架空契約先に手数料として百数十万円を渡し、残りを自分の口座に振り込ませて金融商品の購入や旅行代に使っていたという。
渡辺容疑者は、00~11年に電気設備会社から三菱電機に出向し、営業部門などに所属。08年3月まで、予約システムの保守業務の発注担当者だったという。13年の東京国税局の税務調査で不正が発覚し、14年3月に電気会社を懲戒解雇された。
三菱電機は取材に対し「このような事態を招いたことを厳粛に受け止め、再発防止策の徹底をはかる」とコメントした。