ロシア陸上界の組織ぐるみのドーピングを明らかにしたドイツの公共放送ARDが8日、ロシアのビタリ・ムトコ・スポーツ相がロシアサッカー界のドーピング隠しに直接関与した疑いがあると報じた。ムトコ氏は否定している。
ARDの報道によると、2014年8月、サッカーのロシア1部クラスノダールに所属する選手がドーピング検査で陽性になったという。だが、その事実は公表されず、選手も出場停止にならなかった。ムトコ氏はロシアサッカー協会長で、国際サッカー連盟理事も務めている。
ARDはスポーツ省の職員がドーピング検査機関あてに書いた電子メールを入手。ムトコ氏の名前と同じイニシャルが書かれ、その人物が「この件を調整している」と記されていることを根拠に、ムトコ氏の関与を指摘している。
ムトコ氏は番組内で疑惑を否定。8日にも「国際陸上競技連盟の理事会に影響を与えるための報道だ」とロシア・インタファクス通信にコメントした。国際陸連は今月17日にウィーンで理事会を開き、ロシア陸連の資格停止処分を解除するかどうかを決める。解除されなかった場合は、ロシアの陸上選手はリオ五輪に出場できない。