YOSAKOIソーラン祭りで踊りを披露する熊本県の「肥後真狗舞(まぐま)」=11日午後、札幌市中央区、白井伸洋撮影
札幌市の初夏の風物詩「YOSAKOIソーラン祭り」に熊本のチームが初めて出場した。熊本地震で出場とりやめも考えたが、「熊本は元気だと伝え、支援への感謝も示したい」との思いでやって来た。
パレード会場となった札幌市の大通公園で11日、熊本市の大学生ら約50人による「肥後真狗舞(ひごまぐま)」が鳴子を手に笑顔で舞った。「感謝の気持ちを、笑顔に変えて! どっこいしょ!」。沿道からは大きな拍手とともに「頑張れ!」「よか!」との声援が飛んだ。
代表の広告会社員藤山(とうやま)信一さん(37)は学生だった16年前、札幌で祭りを見て感動した。熊本に戻ってチームを結成し、2007年に「火の国YOSAKOIまつり」を企画。今年3月に10回目を迎え、初めて札幌への参加を決めた。
だが4月の熊本地震で学生代表を務める熊本大4年の菊池和也さん(21)はアパートの電気や水道が止まり、メンバー約30人と大学のグラウンドで毛布にくるまって夜を明かした。
余震が続く中、メンバーは「こんな時に祭りに参加していいのか」と札幌行きの辞退も検討した。一方、被災者から「こういう時は元気なものが見たい」との声も聞いた。本震から2週間後の4月30日、益城町の避難所で演舞を披露してみると、被災者たちは笑顔で手拍子を打ってくれた。「自粛していても、日常は戻ってこないのかもしれない」。菊池さんたちはそう考え、予定通り出場することを決めた。
11日の演舞を終え、藤山さんは「原点の北海道で踊れて感無量。お客さんも温かくて、歓迎されているのを感じた。今回来られなかった仲間も30人くらいいるので、熊本に帰ったら『来年行こうぜ』と伝えたい」と話した。(大山稜)