日立製作所の鉄道車両の整備工場で15日、EU残留を呼びかけるオズボーン財務相(左)とダーリング前財務相=アシュフォード
欧州連合(EU)からの離脱を問う23日の英国国民投票まで1週間あまり。世論調査で離脱派に土壇場でリードを許した残留派が、国民の引き留めに躍起になっている。キャメロン保守党政権は「離脱すれば増税や歳出削減もやむなし」とちらつかせ、野党・労働党も元首相らが残留を呼びかけるが、なりふり構わぬ説得に批判も高まっている。
特集:EU離脱問うイギリス国民投票
「離脱すれば財政赤字の問題に取り組む必要がある。歳出削減か、増税か、ほぼ間違いなく両方が必要だ」。英南東部アシュフォードにある日立製作所の鉄道車両整備工場を15日に訪れたオズボーン財務相はこう述べ、国民投票で離脱となれば、緊縮策を含む緊急予算を組む方針を発表した。
オズボーン氏は、2008年のリーマン・ショック当時に労働党政権で財務相を務めたダーリング氏とともに登場。演説で、離脱による経済低迷で税収が落ち込むと指摘。2019~20年に財政収支が300億ポンド(約4兆5千億円)分、悪化するとのシンクタンクの試算を持ち出し、歳入不足を埋めるには、国民保健サービス(NHS)や防衛、教育分野での歳出削減のほか、所得税の増税などが必要になる可能性を示した。