世界反ドーピング機関(WADA)は15日、昨年11月にロシアの反ドーピング機関を不適格とした後、約半年の間に実施したロシア選手に対するドーピング検査の状況をまとめた報告書を公表した。検査逃れや拒否が736件に上るなど、検査に対する非協力的な姿勢が指摘された。
国際陸上競技連盟は17日にウィーンで理事会を開き、ドーピング問題で資格停止中のロシアの陸上チームがリオデジャネイロ五輪に参加できるかどうかを協議するが、今回の報告書が国際陸連の判断に影響を及ぼす可能性もある。
報告書によると、2947件の検査を行い、52件の陽性反応が出た。このうち、女子プロテニスのマリア・シャラポワが陽性となった禁止薬物メルドニウムが49件を占めた。この影響で、18歳以下のアイスホッケーチームが世界選手権に出られず、17歳以下のチームが代わりに出場した。
抜き打ち検査を受けるため、選手たちは自分の居場所を報告しなければいけないが、その報告がいい加減だったり、連絡先が十分でなかったりするケースもあった。検査官が出向くのが困難な軍事拠点を居場所として伝える選手もいるなど、検査に非協力的な例がいくつもあったという。(ロンドン=河野正樹)