練習の合間にチームメートと談笑する今井月選手(右)=愛知県豊川市の豊川高校
リオデジャネイロ五輪、競泳女子の個人メドレーに出場する今井月(るな)選手(15)。今春、愛知・豊川高に進み、寮暮らしを始めた。一人親で育ててきた父親は、岐阜市の実家から見守り続けている。
リオデジャネイロオリンピック
4月、大会や合宿を終えて初めて高校に登校した今井選手は、10台以上のテレビカメラに囲まれた。「恥ずかしい」と一瞬はにかんだが、「期待されている分、結果で示したい。プレッシャーをうまく自分の力に変えたい」と堂々の対応。「次はどなたですか」と、てきぱきとさばいた。
「練習してたんですよ」と、父の博美さん(50)は、明かす。
2013年に東京五輪開催が決まってから「取材対応で困らないように」と、やはり水泳選手の兄、流星(ひかる)さん(17)とインタビューの練習をさせてきた。「どんな泳ぎができましたか」「この優勝を誰に伝えたいですか」。大会前、きょうだいで報道陣とのやり取りの練習をするのが今井家の恒例だった。
今井選手は8歳の頃に母リサさん(享年37)を病気で亡くし、その後は祖父母宅で暮らした。遠征や合宿の続く娘を、博美さんは細かな心遣いで支えた。「荷物が多いので」と新幹線の車両の乗車口近くの席を押さえ、戻ってくる時には「早く疲労がとれるように」とトレーナーを予約しておいた。