奈良警察署跡(今回の調査地)
平城京が営まれた奈良市中心部で、弥生時代前半(約2300~2400年前)とみられる広さ計5500平方メートルの水田跡が見つかった。奈良県立橿原考古学研究所(橿考研)が23日、発表した。平城京跡で弥生時代の大規模な水田が見つかったのは初めて。
調査しているのは奈良警察署跡の県有地(約8千平方メートル)。川や水路の跡があり、一帯にあぜで細かく区画された水田が広がっていた。水田1枚の大きさは約3~50平方メートルで、約500枚分見つかった。
平城京跡からはこれまでも弥生時代の小規模な水田や土器が見つかっていた。森下恵介・奈良市埋蔵文化財調査センター所長は「平城京跡で弥生時代に人々の生活の営みがあったことが改めてきちんと裏付けられた。この地域での弥生初期の稲作の始まりを考える上でも重要な成果だ」と話す。
調査地は、平城京の時代に天皇の住まいなどがあり政治的な中心だった平城宮が造営された場所に近い。政争で自殺に追い込まれた皇族、長屋王(ながやおう)の邸宅があった都の「一等地」にあたる。