金沢市での地元経済界との懇談後、記者会見する日本銀行の木内登英審議委員
日本銀行の木内登英(たかひで)審議委員は23日、金沢市で講演し、日銀が「2017年度中」の達成を目指している2%の物価上昇目標について「18年度までに達することは想定していない」と述べて目標の達成は難しいとの考えを明らかにした。
木内氏は2%の物価目標の実現には、日本経済の「前向きな構造の変化が不可欠で、相応の時間がかかる」と述べた。そのうえで、達成時期を明確にするのではなく「中長期の目標として位置づけ直す」必要があると話した。
1月に導入を決めたマイナス金利政策については「効果は薄い」とし、逆に「副作用は着実に増加している」と懸念を示した。さらに「日銀が予想外の時期に予想外の内容を打ち出すとの見方が広まるようになった」と指摘。「金融政策の予見性が低下したことで、日銀の金融政策運営に対する信認の低下にもつながっている」とも話し、「サプライズ」を演出しがちないまの日銀の政策運営に否定的な見方を述べた。
木内氏は1月下旬の金融政策決定会合で、マイナス金利政策に反対票を投じた審議委員4人のうちの1人。年間80兆円のペースで市場にお金を流す金融緩和の「量」の面についても、「長期国債の保有残高を削減しなければ効果を確保できる」として、昨年4月より市場に流すお金の減額を提案している。(久保智)