熊本地震による液状化で、地中に深く埋まった電柱=26日午前、熊本市南区、福岡亜純撮影
熊本地震で地盤の液状化が見られた熊本市南区の住民が26日、家屋の補修や地盤の改良などへの支援を国や市に求めるための協議会を発足させた。住民らによると、少なくとも180世帯以上が液状化が原因とみられる被害を訴えているという。
特集:熊本地震
液状化が確認されたのは同市南区の市立日吉小学校周辺などで、長さ5キロ、幅50~100メートルにわたる地域。地盤工学会の調査で判明したもので、傾いた家屋や、地面が沈んで基礎との間に隙間ができた建物などが数多くみられるという。
発足したのは、地元自治会や商工団体などによる「南区(日吉・力合校区)液状化復興対策協議会」。先月、地元自治会などが中心となり、被害が大きいとみられる地区の235世帯にアンケートしたところ、184世帯が液状化の被害があると回答。25世帯の住民が転居を検討していると答えた。自治会幹部らが「家屋や地盤の改良が遅れれば地区の衰退を招く」と危機感を抱き、協議会の設立につながった。
熊本市も被害状況を把握しており、24日からは地盤改良などの支援策を探るための現地調査を開始。8月中には調査を終え、国への支援要請などを検討する。協議会会長に就任した荒牧康さん(79)は「家屋の傾きの補修だけでも数百万円かかる。地盤改良も含めると膨大な費用が見込まれ、被災者個人では負担しきれない」と訴えている。(吉田啓、池上桃子)