初公判に臨む田母神俊雄被告(中央)=東京地裁、絵と構成・小柳景義
2014年2月の東京都知事選後に運動員らに報酬を配ったとして、公職選挙法違反(買収)の罪に問われた元航空幕僚長・田母神(たもがみ)俊雄被告(67)は、27日に東京地裁(家令和典裁判長)であった初公判で、「お金を配ったことはない」と無罪を主張した。検察側は、田母神被告による指示や了承があり、配布先や金額を記したリストが修正されていたことなどを主張した。
田母神被告、無罪を主張 公選法違反事件で初公判
田母神被告は「多くの皆様にご迷惑をおかけした。道義的な責任は感じている」と謝罪する一方、「共謀はしておりません」と語り、計480万円を配ったとする起訴内容を全面的に否認した。
検察側が冒頭陳述で主張した内容によると、知事選後、選挙対策本部事務局長を務めた島本順光(のぶてる)被告(69)が貢献度に応じて運動員に報酬を払うことを田母神被告に説明。出納責任者だった鈴木新(あらた)被告(58)がパソコンで報酬の配布先のリストを作った。田母神被告はリストを見て、貢献度に比べて少額だった運動員の報酬を100万円から200万円に増やすことや、応援演説をした自衛隊関係の友人らにも現金を配布することを指示したという。
島本、鈴木両被告は指示を受けてリストに「会長指示自衛隊関係」の項目を設け、計308万5千円を計上。田母神被告は鈴木被告の説明を聞いた後で了承した、としている。
田母神被告の起訴内容は、14年3~5月に島本、鈴木両被告と共謀し、運動員5人に計280万円を配ったほか、鈴木被告と共謀して島本被告に200万円を渡したというもの。(藤原学思)