町口さんが授業で使うプリント。アニメの世界観や制作の背景を読み解くための様々な分野の情報が紹介されている
「深夜枠を中心に週に20本以上『アニメ』を視聴しておくこと。受講の前提です」。そんなノルマを学生に課した近畿大のシラバス(授業計画)がこの春、ネットニュースに取り上げられ、SNSなどで「うらやましい」「ハードル高すぎ」と注目を集めた。学生に何を期待してこんな条件を出したのか。担当の同大学講師、町口哲生さんに聞いた。
話題になったのは文芸学部2年生が対象の「映像・芸術論1」の講義。「授業時間外に必要な学修」として、週に20本以上のテレビアニメの視聴と月10冊以上の読書、インターネットやSNS活用の習熟などを求めている。
15回の講義で「セカイ系」「聖地巡礼」「腐女子(ふじょし)文化」など様々なキーワードに注目し、「機動戦士ガンダム」「新世紀エヴァンゲリオン」といった往年の名作や「デュラララ!!」「輪(まわ)るピングドラム」「PSYCHO-PASS サイコパス」といった近年の話題作を分析していく。
文芸評論家として執筆活動もしている町口さんは、「人気のあるアニメの多くは独自の世界観を持っていますが、各作品がアニメ全体のなかでどう位置づけられ、どこに独創性があるのかは、とにかくたくさんの作品を見てみないと分からない。週10本では物足りず、15~20本ぐらいが適切でしょう」と強調する。