石油元売り業界の勢力図
石油元売り大手の出光興産が28日に開いた株主総会で、創業家が出光と昭和シェル石油の合併に反対を表明した。創業家は、出光が昭和シェルを傘下に収めることは拒めないものの、一つの会社になることに異を唱えた。今後開かれる臨時株主総会で合併を拒否できるだけの議決権を持っていると主張しており、先行きは波乱含みだ。
出光興産の創業家、昭和シェルとの合併「反対」
両社は昨年7月に経営統合で基本合意した。出光は石油メジャーで英・オランダ系のロイヤル・ダッチ・シェルから昭和シェル株33・3%を取得する契約を結んでいる。出光は今年9月にも、いったん昭和シェルを子会社化。その後に開く臨時株主総会で合併の承認をもらい、来年4月に新会社を発足させる計画だ。
出光による昭和シェル株取得そのものに創業家は関与できない。このため、創業家代理人弁護士は「合併という形に反対している」と話す。ある関係者は「合併すれば創業家の影響力が下がると考えたのでは」と解説する。
創業家側は合併反対の理由について、①両社は異質の企業体質を持ち、合併で経営の効率性を失う②出光がイランと「親密な関係を維持」する半面、昭和シェルはイランと対立するサウジアラビアと関係が深く、合併を急ぐべきではない――と主張。この日の株主総会では、出光の月岡隆社長ら現経営陣10人の選任に反対したが、選任案は可決された。