今秋の株式上場を目指しているJR九州が、6月30日に東京証券取引所へ上場申請した。順調にいけば10月にも東証1部に上場する。時価総額は5千億円規模となる見通し。今年の新規上場では、今月15日に上場するLINE(ライン)に匹敵する大型案件とみられる。
関係者が1日、明らかにした。JR九州の全株式は、国土交通省が所管する鉄道建設・運輸施設整備支援機構が持っており、一括売却する方針だ。福岡証券取引所への重複上場の手続きも進める。
JR九州は、1987年の国鉄分割民営化で誕生した。JRの上場は東日本、西日本、東海に次いで4社目。北海道、四国、九州のいわゆる「3島会社」の上場は初めてとなる。上場すれば、事業計画の策定や社長人事で国の認可が必要なくなるなど経営の自由度が高まる。JR九州にとって上場は、設立以来の悲願だった。
JR九州は、ホテルやマンション、駅ビルなどに事業を多角化。今春には、民営化時に国から受けた3877億円の経営安定基金を取り崩し、九州新幹線の施設使用料の前払いなどに充てたほか、鉄道関連の資産をほぼ全額減損処理することで、鉄道事業のコストを圧縮。2017年3月期に鉄道事業で初めての黒字化を見込むなど、経営基盤の改善を図っている。