福祉避難所として利用されているトレーラーハウス=15日午後1時53分、熊本県益城町、福岡亜純撮影
熊本地震で、災害時に高齢者や障害者を受け入れるために指定されている熊本県内の福祉避難所のうち、発生1カ月半後の6月1日時点で受け入れ可能と確認できた施設は115カ所で、全体の4分の1だった。4分の3は、受け入れ態勢が整っていなかったか、受け入れ可能か確認できなかった。
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熊本地震 災害時の生活情報
県への取材でわかった。国や県は、災害発生後の速やかな福祉避難所の立ち上げなど課題を整理し、今後の災害対策に生かしたい考えだ。
県によると、福祉避難所は461カ所指定されており、約7400人を受け入れられる。6月1日時点で受け入れ可能だと確認できたのは、このうち115カ所(2401人)だった。
実際に福祉避難所として開設し、障害者らを受け入れたかどうかも県は調査。前震翌日の4月15日時点では27カ所が開設され、12人を受け入れていた。最も多かったのは6月1日時点の93カ所で、777人を受け入れていた。
避難の際に手助けが要る「要支援者」の名簿に市町村が登録している人数について、県危機管理防災課は「把握していない」としているが、熊本市だけで約3万5千人いて、大半の要支援者が福祉避難所に入れなかったとみられる。
多くの福祉避難所が開設できなかった理由として県は、建物が被災した▽被災したスタッフが業務に当たることができなかった▽近隣の住民が避難所として使った――などを挙げる。内閣府は「本来期待された機能を果たせなかったという点もある」としている。
福祉避難所は、民間の高齢者施設などと市町村が協定を結んで指定するケースが多い。2014年10月時点では全国で7647カ所あった。(小田健司)
■低い認知度「存在、知っていれば」
災害のときに特別な支援が必要な障害者や高齢者らのために設けられる「福祉避難所」。だが、熊本地震ではその存在さえ知らず、十分な支援を受けられない障害者もいた。支援を受けられても、生活再建で困難に直面している人もいる。
「避難所に入っても、娘が奇声…