世界に拡散するIS関連とみられる事件
ダッカの人質事件について、過激派組織「イスラム国」(IS)を名乗る犯行声明が出た。
IS系メディア「24人殺害」 バングラ当局は未確認
「死亡20人、大半が日本人とイタリア人」 バングラ軍
「日本人だ、撃たないで」 屋外席の客に発砲 ダッカ
武装グループは「神は偉大なり」と叫んで銃を発砲したという。イスラム過激派である可能性は高いが、バングラデシュの地元組織が独自に犯行に及んだのか、ISの指示があったのかは不明だ。
ただ、ISは5月、ラマダン(断食月)中のテロを呼びかける声明をインターネット上に出した。武装グループがこれに呼応した可能性はある。
ISがイラクとシリアにまたがる地域で「国家樹立」を宣言したのが2014年6月。中東や欧州などから多くの戦闘員が加わり、数万人規模まで勢力が拡大したが、現在は米軍主導の有志連合やロシア軍の空爆などで劣勢に追い込まれている。脱走する戦闘員の増加も伝えられる。
イラクでは政府軍が6月、ISが2年半にわたって占拠した中部ファルージャを奪還した。イラク政府はIS最大の国内拠点である北部モスルの年内奪還をめざす。
シリアでも、少数民族クルド人を主体とする部隊やアサド政権軍が、ISの拠点都市に対する攻勢を強めている。
ISが劣勢になるにつれて、各国では潜伏メンバーやIS信奉者が関与したとみられるテロが続く。昨年11月のパリ同時多発テロでは130人が死亡。今年3月にはベルギーのブリュッセルで空港や地下鉄が襲われ、32人が死亡した。
6月28日には、トルコ・イスタンブールの国際空港で外国人を含む44人が死亡する銃撃・自爆テロがあったばかりだ。
ISは世界にテロを拡散させることで、IS掃討作戦に協力する国に警告するとともに、健在ぶりを示して勢力回復を図る狙いがあるとみられる。(イスタンブール=春日芳晃)