二代目喜多村緑郎の襲名に向け、お練りに臨んだ市川月乃助さん(中央)ら=6日午前10時25分、東京都台東区、遠藤啓生撮影
劇団新派の名跡、喜多村緑郎(ろくろう)を二代目として襲名する俳優の市川月乃助さん(47)が6日、東京・浅草寺で襲名披露のお練りと成功祈願をした。月乃助さんは今年、歌舞伎から新派に転じた。初代喜多村緑郎(1871~1961年)は新派女形の名優で写実的な演技に優れ、新派の礎を築いた。重要な名跡が55年ぶりに復活する。
二代目喜多村緑郎襲名へ 市川月乃助さんが会見
お練りには、新派の水谷八重子さん(77)、波乃久里子さん(70)、歌舞伎俳優の尾上松也さんの妹で、9月の新派公演でデビューする春本由香さん(23)も同行した。芸者に扮した新派の女優陣も加わり、午前10時半ごろ、華やかな約120人の一行が雷門を出発。本堂までの約400メートルを進むと、見物客約6千人が集まった沿道から「緑屋!」のかけ声がかかった。
月乃助さんは本堂前で「自分の体が屍(しかばね)になるまで精いっぱい新派のために邁進(まいしん)して参る覚悟でございます。こののちも二代目喜多村緑郎と劇団新派をなにとぞ、ごひいき賜りますようよろしくお願いいたします」とあいさつした。成功祈願の後、報道陣に囲まれ、月乃助さんは「初代のような女形は僕には到底、無理です。どうあがいても初代のようにはなれないですが、先代の残した大きな名跡をつないでいければと思います。新派以外にもいろいろなジャンルのものを吸収し、新派の可能性を広げられるような二代目になりたい」と話した。
月乃助さんは歌舞伎俳優として、市川猿翁(三代目市川猿之助)さんの一門に加わり、「スーパー歌舞伎」などに出演してきたが、この1月に新派に入団した。
襲名披露の「九月新派特別公演」は9月1日から東京の新橋演舞場、17日から大阪松竹座で行われる。口上のほか、昼は「振袖纒(ふりそでまとい)」「深川年増(どしま)」、夜は「婦(おんな)系図」を上演する。(山根由起子)