パラスポーツのアスリートらが全国の小中学校を訪問して障害者スポーツの魅力を伝え、競技を体験してもらう「チャレンジド・ビジット」(朝日新聞社主催)が9日、東京都新宿区立四谷第六小学校であった。
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挑戦の大切さやバリアフリーについて考えてもらうのが狙い。初めての開催で、小中学と保護者の約40人が参加した。
午前の部では、車いすラグビーの体験会が開かれた。
車いすラグビー用の車いすの値段はいくらでしょうか――。
①30万円
②70万円
③100万円以上
車いすラグビーを見るのも体験するのも初めてという参加者の子どもたち。指導にあたった日本ウィルチェアーラグビー連盟普及部長の峰島靖さん(36)の問いかけにはほとんどが答えられなかった。
正解は③。
車いすラグビーは、車いす競技のなかで唯一タックルが認められている競技で、「マーダーボール(殺人球技)」とも呼ばれる激しさが魅力。体験会には、ラグビーワールドカップ元日本代表の広瀬俊朗さん(34)もゲスト参加した。
激しいタックルを受けた同小6年の小瀬凜太郎君(11)は「車いすは障害のある人のものだと思ってた。でも、スピードも迫力もあって、腕の力もたくさん使って、新しいスポーツをした気分になった」。
スポーツが苦手という同小4年の谷林明依(めい)さん(9)は「車いすだと男子と一緒の試合で頑張れた。タックルは痛くなかったけど、動けなくなってしまったので、また練習したい」と話した。
今年5月に初めて車いすラグビーを体験したという広瀬さんは「同じラグビー仲間として、僕のできないことをしている選手たちを尊敬している。スポーツを通して、障害者と健常者の垣根がなくなればいい」と期待した。
峰島さんは、子どもたちに対し、23歳の時に交通事故で下半身と手に障害を負った自らの経験を話した。「できないことはあるけど、けがをする前とは違う方法を考えればどんな目標でも達成できる。みんなも目標を立てれば、楽しいことがたくさん見つかる」と語りかけた。
午後の部では、座ってプレーするシッティングバレーボールの体験会があった。
また、会場ではパナソニックによる障壁のないユニバーサルな社会を実現するために開発された最新機器の体験会も開かれた。腰に装着すれば重たい荷物でも軽々と持ち上げられるロボット「アシストスーツ」や、日本語を英語や中国語などの複数の外国語に翻訳して声を出すメガホン「メガホンヤク」などが披露された。(斉藤寛子)