営業を再開した「けとばし屋チャンピオン天満店」の馬刺し
熊本県の特産品として知られるのが馬肉だ。生産量は全国トップで各地に出荷されていたが、4月の熊本地震で大きなダメージを受けた。生産者らの努力によって、復活に向けた動きが広がっている。
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■入荷なくなり、5店休業
大阪府八尾市と神戸市では1日夕方、馬肉専門の焼き肉店「けとばし屋チャンピオン」のチェーンが1店ずつ営業を再開した。金曜日とあって、多くの会社帰りのサラリーマンらでにぎわった。
運営するマッスルコーポレーション(大阪市)によると、熊本からの入荷がないため大阪や兵庫の5店が地震直後から休んでいた。6月から段階的に再開し、7月1日に全店が復活した。国内最大規模の生産業者「千興ファーム」(熊本県御船町)が6月から徐々に出荷を始め、馬肉が届くようになったという。
大阪市北区の「けとばし屋チャンピオン天満店」はいち早く6月10日に開いた。常連で大阪府高槻市の主婦石田まゆみさん(43)は「熊本の人もお店も大変だったはず。復活してくれてうれしい」。天満店の下村晃一郎店長(33)は「地震による休業で、改めて馬肉が貴重な食文化だと感じた」と話す。
マッスルコーポレーションの中森健夫社長(45)は「千興さんがダメになったら、うちも廃業するしかないという覚悟だった」と明かす。馬肉の産地は熊本以外にもあるが、味や鮮度などを比べると、仕入れ先は変えられないという。「馬肉といえば、やっぱり熊本ですから」