英新政権の外相に起用されたジョンソン前ロンドン市長=AFP時事
英国の与党・保守党のテリーザ・メイ党首(59)が13日午後(日本時間14日未明)、第76代首相に就任し、主要閣僚を発表した。6月の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めた同国の政治経済を安定させ、難航が必至のEUとの離脱交渉を進める重責を担う。
特集:イギリス、EU離脱へ
「私たちはこの試練に打ち勝つ」 英メイ首相が初演説
メイ氏は13日夕方、バッキンガム宮殿でエリザベス女王から首相に任命された後、首相官邸前で最初の演説を行った。演説では貧困層や有色人種、女性など英社会で不公正に直面している人々の例を列挙し、さらに幅広い一般国民にも向けて「一部の特権階級ではなく、あなたたちのための政府を率いる」と宣言。「国民投票の後、私たちは大きな変化に直面しているが、私たちはこの試練に打ち勝つ。ともによりよい英国を築こう」と国民に語りかけた。国民投票で、不公正に苦しむ人々の政府批判が離脱派勝利につながったと強く意識した内容だった。
メイ氏はただちに組閣に着手し、主要閣僚を発表した。国防相など閣僚経験が豊富なハモンド外相を「政権ナンバー2」の財務相に起用。離脱キャンペーンを率いて次期党首と有力視されながら党首選に出馬しなかったジョンソン前ロンドン市長を外相に大抜擢(ばってき)した。離脱派の中核のジョンソン氏を入閣させた背景には、同氏の政権批判を封じると同時に党内の離脱派を鎮める狙いがありそうだ。
またEU離脱担当相と国際貿易担当相のポストを新設し、それぞれ離脱派のデービス元欧州担当相とフォックス元国防相を任命した。ファロン国防相は留任した。メイ氏は15日にかけて100人規模の組閣人事を発表する。女性閣僚の増加も予想されている。(ロンドン=渡辺志帆)