2016年7月、記者会見でターンブル首相を見るジョイス副首相(左)=AFP時事
オーストラリアのターンブル首相は15日、自身が定める閣僚の行動基準に「事務所のスタッフと性的関係を持ってはならない」との内容を加えると発表した。地元メディアが先週からジョイス副首相(50)とスタッフだった女性(33)との不倫問題を連日、報道。国会でも追及されていた。
豪州では、ハワード政権(1996~2007年)以降、歴代首相が閣僚の行動基準を定める。ターンブル氏による従来の行動基準は、政策決定が個人の利益につながる行為や近親者のスタッフとしての雇用などを禁じている。今回の性行為禁止は、閣僚が既婚でも独身でも適用される。
地元報道によると、ジョイス氏は一昨年8月、元記者の女性をメディア顧問として雇った後、昨年前半に不倫関係に。周囲に知られると、同年末にかけて、別の閣僚や同僚議員の事務所に厚遇で次々と「異動」させていた。女性は今年4月にジョイス氏との子を出産予定。支援者から無料で住宅を提供され、昨年12月から2人で暮らしていることも報じられた。
ジョイス氏は、女性が自身のスタッフだったときは「(まだ)パートナーではなかった」などと従来の行動基準の違反はないと主張。ターンブル氏も「不正は見当たらない」とかばってきたが、15日になって「本当の問題は(ジョイス氏が)妻や(4人いる)娘たち、さらに新しいパートナーをひどく傷つけたことだ」「職場の若い女性と関係を持ち、我々をがくぜんとさせた」と批判に転じた。(シドニー=小暮哲夫)