アンカラで16日、反乱軍によって空爆された国会の損傷を調べる人たち=AFP時事
トルコで15日夜(日本時間16日未明)、軍の一部がクーデターを企てた。首都アンカラや最大都市イスタンブールでは、政権側と反乱軍の間で激しい攻防が起きた。「独裁色」を強めるエルドアン大統領への反発が背景にあるようだ。
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「軍の一部がクーデターを企てている」。15日深夜、トルコのユルドゥルム首相が報道陣に険しい表情で話した。その約30分後、地元通信社が「全権を掌握した」とする反乱軍の声明を報道。続いてトルコ国営放送も、引きつった表情の女性キャスターが、「軍が全権を掌握した」とする反乱軍の声明を読み上げた。
声明は「立憲的な秩序、民主主義、人権、そして自由を回復し、トルコ国内にもう一度、法の支配を確立するため」と説明した。
16日未明から、首都アンカラでは戦闘が発生。ニュース専門局CNNトルコは、国営放送のビルで大きな爆発音が響いたと報じ、アンカラ郊外の軍の特殊部隊本部もヘリコプターから攻撃を受けたと報じた。さらに国会議事堂も爆撃を受け、警察官や議会職員らが負傷したと伝えた。
同午前2時、地元メディアはトルコ軍の戦闘機が反乱軍のヘリを攻撃するため、上空を飛行する様子を報道した。
同様に、15日夜から16日未明にかけて、最大都市イスタンブールでも反乱軍が展開していた。反乱軍は、行政機関やボスポラス海峡に架かる二つの大橋を占拠。クーデターに反対する市民との衝突や警官隊との戦闘も発生した。
二つの大橋のうち、南側にあるボスポラス橋では、クーデターに抗議した市民に、反乱軍兵士が発砲したと地元通信社が報道。さらにAP通信によると、2013年に反政府デモの舞台となった欧州側新市街中心にあるタクシム広場では、反乱軍と警官隊との間で銃撃戦になり、大きな爆発音も響いたという。
地元メディアによると、反乱軍は国内の報道機関にも押し入った。新聞やテレビを手がけるメディア企業の本社では、カメラマンが頭を撃たれて殺害されたほか、複数の記者らを人質に取ったという。