岸和田城が見えるお気に入りのスポットで、こけちゃっかーと地球温暖化防止帽子をかぶった泉原一弥さん=大阪府岸和田市、中川竜児撮影
夏本番を迎えた大阪府岸和田市で、屋根にこんもり深緑のコケを載せたミニバンを見つけた。人呼んで「屋上緑カー」。走り始めて丸5年。温暖化防止の理想を掲げ、泉州路をさっそうと駆け抜ける。
「なんだ、あれ」。岸和田城周辺がざわめく。指さして笑う人、ぽっかり口を開けて見つめる人……。観光客らの注目も集めた。
車の主は岸和田市の泉原(いずはら)一弥さん(57)。府立園芸高校で教員をし、家業の園芸店を継ぐために退職したが、経営に失敗した。クリーニング集配の仕事を始め、ようやく軌道に乗った2000年ごろ、ある思いがよぎった。学校では「環境のため、地域でできることをやりなさい」と生徒に言ってきたが、自分は何もしていない――。
そのころ、首都圏ではヒートアイランド対策でビルの屋上緑化が広がりつつあった。「これやろ」と思ったが、自宅は日本家屋。集配専門で店舗はなく、営業用のバンに目を付けた。
最初は芝生を載せようとしたが…