ドナルド・トランプ氏が共和党候補になるまで
米大統領選をめぐり、オハイオ州で開かれている共和党全国大会で19日(日本時間20日)、実業家のドナルド・トランプ氏(70)が同党の大統領候補に正式に指名された。政治経験ゼロで「アウトサイダー(異端児)」を売り物にした同氏は、党内外で激しい反発を受けながら、世論の既成政治への嫌悪や現状への不満を追い風に、17人いた同党候補者の頂点を射止めた。
特集:米大統領選2016
党大会には約5千人が参加した。2日目の19日には、獲得代議員数を州ごとに集計。トランプ氏が半数を大きく上回る代議員を獲得し、党大統領候補に指名された。11月8日に投開票される本選挙で民主党候補となるクリントン前国務長官(68)に勝利すれば、米大統領に就任する。指名を受けたトランプ氏は地元ニューヨークから中継で大会会場のスクリーンを通して、「大統領選で勝利し、本当の変化と指導力をワシントンに取り戻す」と、意気込みを語った。
政治経験のない人物が主要政党の候補となるのは、第2次世界大戦の連合国軍最高司令官だったアイゼンハワー氏が当選した1952年以来だ。「不動産王」として知名度はあったものの、「いずれ消える」とみられていたトランプ氏。だが、国内で賛否両論を巻き起こしながらも、異例の展開で勝ち抜いた。
トランプ氏がニューヨークのビル「トランプ・タワー」で出馬表明したのは昨年6月。その会見でメキシコからの不法移民を「麻薬密売人」「強姦(ごうかん)犯」と決めつけ、国境に「万里の長城」を築くと発言し、いきなり物議をかもした。
「彼の立候補はジョークだ。勝…