日本の国立公園
外国人観光客を地方に引きつける起爆剤にしようと、国立公園を世界的な観光地としてブランド化する事業に国がこの夏、着手する。第1弾として選ばれるのは全国32カ所のうち5カ所程度。地元自治体からは「立候補」が乱立し、熱い戦いを繰り広げている。
始まりは、訪日外国人旅行者の倍増を目指す政府の新観光ビジョンだった。
「豊かな自然が凝縮された『国立公園』を、世界水準の『ナショナルパーク』に生まれ変わらせます」
3月、関係閣僚と有識者でつくる「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」で、議長の安倍晋三首相はこう語った。国立公園を文化財や迎賓館などとともに新たな観光資源と位置づけ、専門家のガイドツアーや魅力的な宿泊施設が充実する米国のイエローストン国立公園を手本に外国人観光客を呼び込む狙いだ。
日本を代表する風景地を環境相が指定する国立公園は、北海道から沖縄県まで32カ所。有名な観光地も多い。「ナショナルパーク」との違いははっきりせず、日本語を英語にしただけにも見えるが、これが競争に火をつけた。
環境省は「国立公園満喫プロジェクト」と名付けた事業を始めると発表。まだ予算がついていない中、外国人向け体験ツアーの開発、町並みの整備、海外への情報発信強化などの実施を早々と決め、5カ所程度を選ぶことにした。
世界的な知名度を高めたい国立公園の地元自治体は、公募制でもないのに続々と名乗りをあげた。
「十和田八幡平国立公園を選ぶ…