「千鳥屋」の屋号で菓子を製造販売する4社のうち、「千鳥屋宗家(そうけ)」(兵庫県西宮市)が「千鳥饅頭(まんじゅう)総本舗」(福岡市博多区)を相手取り、近畿一円での販売差し止めと損害賠償1千万円を求めて大阪地裁に提訴した。22日の第1回口頭弁論で、被告側は請求を退けるよう求めた。
訴状によると、「千鳥屋」のルーツは1630年に佐賀県で開業した和菓子屋。戦後、福岡市に進出し、その後、長男は東京、次男と四男は別々に九州、「宗家」を設立した三男は大阪で事業を始めた。母親が地域別の販売を仕切っていたが1995年に亡くなり、兄弟は各自の地域を守ることで合意したという。
ところが次男死亡後の2011年以降、親族らが継いだ「総本舗」が近畿地方に進出。百貨店やスーパーで「宗家」が扱う菓子と同様の商品を安い価格で販売し、「宗家」では実施していない量り売りもした。
三男は73年に近畿で事業を始め、86年に「宗家」を設立して社長に就任。甘いたれをもちで包んだ「みたらし小餅」やまんじゅう「本千鳥」などで知られ、訴訟では「数十年かけて築いてきた高級菓子のイメージが壊された」と訴えた。
一方、「総本舗」の代理人は朝日新聞の取材に対し、「原告が主張するような合意はない」としている。