リオデジャネイロ五輪前の国内最終戦となった4月のNHK杯で2年連続10度目の優勝を果たした羽根田卓也選手=富山市井田川カヌー場
リオデジャネイロ五輪のカヌースラローム、男子カナディアンシングルに出場する羽根田卓也選手(29)=ミキハウス=にはメダルを誓う友がいる。交通事故で脳に障害を負った名古屋市の中西拓馬さん(28)。2人は互いに励まし合い、羽根田選手は五輪の表彰台を狙える力をつけ、中西さんは懸命のリハビリで奇跡的に回復をしてきた。
特集:リオオリンピック
五輪のメダルがまだない日本のカヌー界で、羽根田選手は最もメダルに近いと言われる。高校卒業後、強豪国のスロバキアに渡って10年。五輪本番と同じコースを使った昨年のテスト大会で2位になり、6月18日のワールドカップ第3戦で3位に。スラロームの日本勢で史上初めて表彰台に上がった。リオが3大会連続の挑戦となる。
もともと口数が少なく、周囲の期待をどこ吹く風と受け流してきた。「日本カヌー初のメダルはどうでもいい。ぼくはただ、身近な人のために挑戦するだけ」。頭の中にあるのが愛知・杜若(とじゃく)高の同級生、中西さんの存在だ。
野球部主将で4番打者だった中…