上層部の解体工事が始まったマンション=27日午前10時4分、兵庫県尼崎市、朝日新聞社ヘリから、高橋一徳撮影
2005年に起きたJR宝塚線(福知山線)脱線事故で、電車が衝突した兵庫県尼崎市の9階建てマンション上層階の解体工事が27日から始まった。JR西日本は、事故の痕跡が残る部分を中心に1~4階を階段状に一部保存し、東側に広場を設けて慰霊碑や犠牲者の名碑を設置。地下に事故を伝える資料などを展示することにしている。周辺整備と合わせて、18年夏ごろまでに完成する予定。
特集:JR宝塚線脱線事故
この日午前10時ごろ、作業員約30人が、防音パネルに囲われたマンション(高さ27メートル)の屋上部分を切断する作業を始めた。周囲ではマンションの全部保存を求めて工事に反対している数人の遺族が見守った。
■遺族、事故の風化を懸念
「息子に謝るしかない。現場は全部残してやると約束したのに」。上田弘志さん(62)=神戸市北区=は、次男の昌毅さん(当時18)を亡くした。マンション上層階の切断作業が始まると、この日もビデオカメラを向けた。
全部保存をJR西日本に訴えて…