トヨタ財団の「カイケツ」講座で課題を話し合うNPO関係者ら=今年5月、名古屋市中村区
企業で働く人たちが仕事で培ったノウハウをNPOに伝授する取り組みが、東海地方で広がりつつある。首都圏などに比べ出遅れ気味と言われてきたが、この地で盛んな製造業の技能や発想も生かしているのが特徴だ。社会的な活動に携わる人の「スキルアップ」につなげ、地域が抱える課題の解決をめざす。
■トヨタ社員が熱弁
「『なぜ』を5回繰り返すことで、問題の真因が見つかるんです」。名古屋市内のビルの一室で、トヨタ自動車の社員やOBらが、各地から集まったNPOの代表ら約30人を前に熱弁を振るっていた。
社会貢献活動の支援団体「トヨタ財団」が5月に始めた「カイケツ」講座。うまく情報を共有できない、次世代のメンバーをどう育てたらいいのか、といったNPOの悩みに対し、ともに解決策を探る場だ。
5人の講師は、無駄を徹底的に省く「カイゼン」などで知られるトヨタ生産方式を、社内や部品メーカーに教えてきた「伝道師」。講座でも、報告内容を用紙1枚にまとめるトヨタ流の仕事術などを紹介。計5回の講座と宿題をこなし、12月に成果を発表する。
海外文化を紹介するサイトを運営する「DiVE(ダイブ).tv」(名古屋市)の牧野佳奈子代表は、講師から「本当の課題は何か」と何度も問われ、「小手先ではなく根本を見つめる。それがトヨタが大切にしていることだと思った」。作業の負担が特定の人に偏らないよう、手順を表にまとめるなどの工夫を重ねている。
トヨタ財団のNPO支援はこれ…