高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)で昨年11月、使用済み燃料プールの汚れを知らせる警報が鳴ったのに、日本原子力研究開発機構が根本的な対策を5カ月間取らなかったことが3日、原子力規制委員会の定例会で報告された。もんじゅでは先月にも、原子炉の機器の点検を2カ月放置していたことが発覚したばかり。規制委の田中俊一委員長は「警報が鳴ったのにすぐ対処しないのは想像を絶する」と厳しく批判した。
原子力機構などによると、昨年11月19日未明、使用済み燃料2体が入ったプールの汚れを示す警報が鳴った。しかし、原子力機構の担当者は手順で定めた通りに責任者に連絡せず、年末に報告を受けた所長も根本的な解決策を指示しなかった。
担当部署はプールの清掃を繰り返したが、組織内で問題が共有されず、今年4月までフィルターの交換といった根本的な対策の検討がされなかったという。警報が解除されたのは5月20日だった。原子力機構は「担当者が急を要する事案ではないと判断した」などと説明している。
保安規定違反と認定した規制委は、使用済み燃料に腐食はなかったとして、4段階ある違反のうち最も軽い「監視」とした。ただ、警報が鳴ったのは、規制委が「原子力機構には安全に運転する能力がない」として、文部科学相に運営主体の交代を勧告した直後だ。田中委員長は「安全第一の文化が根本的に欠けているという勧告の内容が裏書きされた」と述べた。