立川志の輔さん(右から3人目)のかけ声で、観客とともに手締めをする渡辺謙さん(同4人目)ら=7日午後4時12分、東京都渋谷区、池永牧子撮影
斬新な自主プロデュース公演で43年にわたって演劇界に新風を吹き込んできたパルコ劇場(東京都渋谷区)が、7日にあった「ラヴ・レターズ」の公演をもって一時休館に入った。劇場のある渋谷パルコの建て替えに伴うもので、約3年後に再開する予定という。
この日、終演後の手締め会では出演した渡辺謙さん、南果歩さん夫妻や、ゆかりの俳優らが、過去の上演作のポスターの前で劇場の思い出を語った。落語公演を20年続けてきた立川志の輔さんの音頭で、観客と共に三本締めをした。
一時休館について渡辺さんは「さみしさがあるが、絶対ここがまた戻ってくるんだという思いが強くあるので、また呼んでもらえるような自分でいたい」と語った。パルコ劇場にデビューしたのは1981年の「下谷万年町物語」(唐十郎作、蜷川幸雄演出)。劇場への出演が映画やテレビドラマ、ブロードウェーでの活動にもつながったという渡辺さんは、「すごく験のいいというか、縁起のいい劇場」と話した。劇場にかける言葉を記者から問われた南さんは、「ラヴ・レターズ」の最後のせりふにかけて「ありがとう、パルコ」と述べた。
パルコ劇場は1973年に「西武劇場」として開場。「笑の大学」など自主プロデュース作品を数多く上演し、高い評価を得てきた。(星賀亨弘)