格闘技イベント「RIZIN(ライジン)」の記者会見が16日、東京・お台場であり、女子レスリング元世界王者・山本美憂(42)の総合格闘技(MMA)デビュー戦の相手が発表された。世界選手権連覇のレスリングエリートを迎え撃つのは、シュートボクシング世界女子フライ級王者のRENA(25)。昨年大みそかのMMAデビュー戦を白星で飾った“ツヨカワ女王”との他流試合となる。
山本は、ミュンヘン五輪レスリング代表だった郁榮氏の長女。弟の総合格闘家“KID”徳郁、妹の聖子とともに、幼少期からレスリング選手として活躍。1991年、史上最年少の17歳で世界選手権を制覇し、1994、95年も世界王者になった。2男1女の母であり、長男のアーセン(19)も昨年大みそかにMMAデビュー。レスリングとの両立を目指している。
山本自身も、カナダ国籍を取得してリオ五輪出場を目指すが断念。新たな活躍の場として、さいたまスーパーアリーナ(さいたま市中央区)で9月25日に開かれる「RIZIN無差別級トーナメント開幕戦」でのMMA挑戦を明らかにしていた。
徳郁やアーセンら家族とMMAの練習を積んでいるという山本は、「相手が誰であろうと死ぬ気でいく」とコメント。打撃有りのルールは未経験だが、「打撃の経験の浅さは身体能力でカバーできる」と自信を見せた。
かたやRENAは、「昔からテレビで見ていた憧れの選手」と持ち上げつつ、「打撃は半年でうまくなるほど甘くない。女子格闘技を盛り上げるため、メーンをかっさらうつもりで戦う」と、プロ格闘技の先輩として意地をのぞかせた。
高田延彦・RIZIN統括本部長は「人生をかけて相手のジャンルをつぶし合う他流試合。発信力の強い選手同士のカードで、今まで女子格闘技を見なかった人たちにも素晴らしさを伝えられる」と胸を張った。
一方、今年4月のデビュー以来MMA3連勝のレスリング元全日本王者・村田夏南子(23)も、北米で活躍する女子柔術家との対戦が発表された。
リオで五輪4連覇に期待がかかる吉田沙保里を13年全日本選抜決勝で追い詰めた村田も含め、各界から注目選手が集まりつつある女子格闘技界。榊原信行・RIZIN実行委員長は「オリンピックに負けない、日本の熱き女子たちの闘いに胸をふるわせてほしい」とPRした。
RIZIN無差別級トーナメント開幕戦は、藤田和之やミルコ・クロコップ、ヴァンダレイ・シウバら、旧PRIDEで格闘技ブームを牽引(けんいん)した選手らによるトーナメント大会。大みそかに決勝戦が予定されている。(北林慎也)