救急搬送の出動総数と不搬送の推移
119番通報で出動した救急隊が、誰も運ばずに引き返す「不搬送」が、2014年までの10年間に約5割増えたことが、総務省消防庁への取材でわかった。高齢化などで緊急性の低い通報が増えていることが一因と見られる。「空振り」の出動が増え続けると、重症者の搬送に影響する恐れがある。
朝日新聞が消防庁に情報公開請求して得たデータによると、14年の不搬送は63万4千件。05年(43万3千件)と比べて46%増えていた。一方、救急車の出動総数は598万件で、同じ期間では13%増にとどまっていた。出動に占める不搬送の割合は、大阪府(14・4%)や兵庫県(12・9%)、東京都、埼玉県(どちらも12・8%)など大都市圏で高かった。
不搬送の理由は、家族らが通報したが搬送を拒む「拒否」(32%)が最も多く、隊員が応急処置をして医療機関に搬送しない「現場処置」(18%)が次いだ。けが人や病人がいなかった例や、誤報・いたずらは計11%だった。
具体的には▽体調が心配で救急…