黒光りした体色に、大きなハサミが特徴のダイオウサソリ。体の尾部分に毒針をもっているが毒性は低い=2015年10月、竹谷俊之撮影
■360度動画「いきもの目線」
無数のゴキブリをケースなしで展示して話題を呼んでいる爬虫類(はちゅうるい)専門の動物園「iZoo(イズー)」(静岡県河津町)には、巨大なサソリやヤスデ、ヘビなど気持ち悪がられる生き物がたくさんいる。彼らをより近くで見ようと、飼育箱に360度の動画用カメラを埋めた。
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アフリカに生息するサソリ目世界最大種のダイオウサソリ。体を覆う「よろい」はよく見ると真っ黒ではなく青みがかっていて光沢がある。この体の色に魅力を感じる人もいるというのも納得だ。20センチほどの巨体が、太いハサミを動かしながらカメラの上をミシミシと音をたてて通過した。コオロギが好物で、このハサミで捕らえて食べる。力は強く人間の指が挟まれれば出血することもあるという。ただ、性格はおとなしく尾の先にある針の毒性は弱いという。
白、赤、黄、ラベンダー色のコーンスネークが、飼育ケースの端でお互いの体を絡ませ合った。別名はアカダイショウで米国が原産。ネズミなどの小動物を食べるという。普段は別々のケースで飼育されているが撮影のため特別に一緒にしてもらった。ケースの真ん中は落ち着かないのか、5匹は常に端の方で動いていた。人気の色は白色だという。
最大で30センチにもなるヤスデ20匹以上が無数の脚をモゾモゾと動かしている。編集作業中の動画を見た同僚の女性記者が悲鳴を上げた。タンザニアオオヤスデと呼ばれ、アフリカにいる世界最大級のオオヤスデ。朽木や落ち葉の中に生息し、敵に襲われると刺激臭のする液体を出し身を守るという。恐る恐る持ち上げると体は意外と固く臭いはなかった。
同園は、イグアナやヘビ、カメなど約300種類1500匹がいる爬虫類に特化した動物園。約2千匹のトルキスタンゴキブリをケースなしで展示していたが、今月上旬から約1万匹に増やした。白輪剛史・園長は「毒があることや外見で嫌われるこれらの生き物は、図鑑のヒーローにはなり得ないが、落ち葉を分解したりするなど生態系の一員としてジャングルに欠かせない存在だということを伝えたい」と話している。(山本晋)