写真を撮るときも「いいね」ポーズ。こんな笑顔を見せられたら怒りも吹き飛んでしまう=ブラジル・リオデジャネイロ、樫山晃生撮影
17日間のリオデジャネイロ五輪がまもなく幕を閉じる。開幕前から懸念された通りトラブルの多い五輪だった。お湯の出ない選手村、いつ来るかわからないシャトルバスに緑色に濁った飛び込み会場の水――。まわりの取材陣からも不満の声が聞こえない日はなかった。
リオオリンピック
リオ日記
【タイムライン】第16日のまとめ
海外取材にはこうしたストレスにはよく遭遇するものだが、こんなときは「こっちが普通」と唱えて心を落ち着かせることにしている。海外経験をし、少しだけ年を取って身に着けた呪文だ。電車が時間通りに来たり、どこに行っても、ちゃんとしたサービスが受けられたりする日本がずれているんだというコペルニクス的転回。
それでもこの呪文の効きが悪いのか、修行が足りないのか、大会中も聞こえない携帯電話が何度か宙に舞い、大会直前に不当値上げをしたレストラン店主に切れたりした。
起こってしまったトラブルに対して、それ自体をチャラにしてしまうようなフレーズが世界には存在する。「ケンチャナヨ」(韓国語)、「マイペンライ」(タイ語)や「没問題」(中国語)など。「ノープロブレム」と言われて内心で「問題だらけじゃい」と思っていても許せてしまうような魔法の呪文。
ブラジルにもそんな呪文がきっと存在するに違いない。大会ボランティアに聞くなどして探ってきた。
もちろん表面をなでただけのよ…