「民は食をもって天となす」という言葉がある。では、毎日する食事の後、どのようにすれば健康促進に役立つのだろう?「食事の後に運動すると胃下垂になるため、食後の運動は控えたほうがいい」という人もいれば、「食後にお茶を飲むと、眠気が覚め、消化にもいい」という人もいる。さらに最近は、「食後はソファーの上でダラっと寝転ぶのが正しい」という人もいる。「寝転ぶのが正しい」説は、ショート動画アプリ・抖音(Tik Tok)に寄せられており、関連の動画を見ると、「食後は立つのも、座るのも避けたほう良く、寝転ぶのが一番」とし、その理由について、「食後は血液が胃に集中し、脳に送られる血が不足する。寝転ぶと、それが原因の不快感が和らぐ」と説明している。科技日報が報じた。
では、「食後は寝転ぶのが正しい」説は本当なのだろうか?科技日報では複数の専門家にこの説の是非について取材した。
食後すぐに寝転ぶと消化にいい?→消化に悪影響
青海大学附属病院中医科の楊如意主任は、関連の動画を見た後、「食後にソファーに寝転ぶのは間違っている」と指摘。「食後、胃は食べ物でいっぱいになっており、消化機能が働いている状態。その時に、寝転ぶと胃腸の動きに悪影響を及ぼし、消化や吸收にも影響が出る」と説明した。
食後に運動すると胃下垂に?→適度な運動は胃腸の働きを促進
楊主任は、「生理学的観点から見ると、食事と運動には直接的な関係はなく、食後に運動しても問題はない。ただ、お腹いっぱい食べた後、すぐに激しい運動をすると、いくつかのリスクが生じるため注意が必要だ。例えば、食後は食べたものでいっぱいになっているため、腹腔内で胃腸が活動できる空間が小さくなる。その時に激しい運動をすると、関連の器官が腹腔内でねじれたり、変形したりして、腸間膜への血の供給に障害が起き、腸が壊死してしまう可能性がある。このような状況は子供に起きやすい。また、食後、またはお腹いっぱい食べた後に、激しい運動をすると、腹腔内の圧力が高くなり、嘔吐したり、胃食道逆流症になったりする可能性がある」と説明する。
そして、「お腹いっぱい食べた後は、散歩など、適度に活動すると良い。そうすることで、胃腸の働きを促進し、胃食道の逆流の症状を軽減することもできる」とアドバイスする。
食後にお茶を飲むと目が覚め脂分流れる? →胃液や腸液の分泌に悪影響
食後にお茶を飲むと、眠気が覚めるほか、脂分を流すことができるという説について、成都市中西医結合病院・リハビリ医学科の中医学主治医の毛偉氏は、「食後に濃いお茶を飲むと、脂分を流すことができ、胃もたれを軽減できるほか、消化やダイエットの助けになると考えている人もいる。しかし、実際には、食後にすぐにお茶を飲んでも、消化の助けにならず、脂分を流すこともできないだけでなく、胃液や腸液の分泌が妨げられ、消化や吸収に悪影響が及び、便秘になりやすい」と注意を呼び掛けている。
そして、「お茶に豊富に含まれるタンニンは、タンパク質の吸収に悪影響を及ぼし、栄養の効果的な吸収の妨げになる。また、テオフィリンは、小腸の鉄分吸収を妨げ、特に深刻な鉄欠乏性貧血患者は、過度の量のお茶を飲んだり、濃いお茶を飲んだりしてはいけない」と説明する。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年10月23日