男子フリー57キロ級の表彰式で、銀メダルを見せる樋口黎(左端)。隣は金メダルを見せるキンチェガシビリ=19日、カリオカアリーナ、林敏行撮影
あどけない少年の顔をした20歳の大学3年生が、世界の強豪を次々と倒して、レスリング男子フリースタイル57キロ級の決勝にたどり着いた。快進撃の樋口黎は金メダルのかかる大一番を前にしても、緊張の色を見せなかった。
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第2ピリオド序盤まで、昨年の世界選手権王者のキンチェガシビリ(ジョージア)を得意の片足タックルで攻め立てた。だが、その後の攻防で暗転した。「点差を広げよう」と突っ込み、ひっくり返されて、流れが変わった。内容でリードされると、最後は、指をつかむ反則すれすれの行為で守りを固めてきた相手を、攻め崩せなかった。
試合後、「金メダルを取れなかったことが一番悔しい」と天を仰いだが、涙はなかった。「攻める自分のレスリングはできた。(内容に)後悔はありません」。さばさばと言った。
対戦相手より手ごわい敵は、己…