ヘレン・クラークUNDP総裁=ナイロビ、28日、渡辺淳基撮影
国連開発計画(UNDP)のヘレン・クラーク総裁が28日、ケニアの首都ナイロビで朝日新聞の単独取材に応じ、アフリカの経済成長には「女性の社会進出と男女平等を推し進めることが不可欠だ」と語った。「日本からの進出企業が増えれば、それだけ(女性雇用などの)価値観を広げることにつながる」とも指摘し、日本企業の果たす役割に期待を示した。
UNDPは同日、日本政府などが主催した第6回アフリカ開発会議(TICAD6)で、人々の生活や教育環境の変化を調べた「アフリカ人間開発報告書2016」を発表した。
その中で、女性の中等教育修了率や労働参加率が低いこと、未成年の結婚や妊産婦の死亡率が高いことが、アフリカ経済の発展を阻害していると指摘。その損失額は、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国合計で年平均950億ドルに達し、アフリカ全体の国内総生産(GDP)の6%前後に相当するとの試算も公表した。
クラーク総裁はこうした点を踏まえ、「TICADがめざす経済成長を実現しようとするなら、男女平等の追求は『善行』のようなものではなく、まさにその中心となる取り組みだ」と指摘。さらに、「日本の会社が進出してくれば、女性に職業訓練を施し、活躍してもらおうという強い価値観をアフリカで示すことになる。女性の社会進出にとって前向きな影響がある」と述べ、日本企業がアフリカで果たす役割にも期待を寄せた。(ナイロビ=渡辺淳基)