作者の岡田新吾さん(右)と絵を担当した宮崎一人さん=名古屋市北区
東山動植物園(名古屋市千種区)の「イケメンゴリラ」、シャバーニが絵本の主人公になった。絶滅の危機にあるゴリラたちのことを、もっと知ってもらうきっかけにしたいという。
特集:どうぶつ新聞
絵本のタイトルは「シャバーニだいすき」。名古屋市名東区のイラストレーター宮崎一人さん(45)が絵を担当した。「イケメン」を表現するのに苦労したという。人間なら眉毛をきりっとさせるとうまくいくそうだが、ゴリラに眉毛はない。
「うそは描けないし」と悩んでいた宮崎さんがヒントを得たのが時代劇だ。「遠山の金さん捕物帳」に主演していた四代目中村梅之助さんや、「水戸黄門」で助さん役を演じた里見浩太朗さんのメイクを参考に、頼りがいや優しさのある目を描けたという。
絵本の作者で物語を考えたのは、約4年前から宮崎さんと一緒に電子書籍の絵本を作っている岐阜県各務原市の絵本作家岡田新吾さん(52)。身近な人気者が絶滅の危機にあることを伝えたかったが、絵本では触れなかった。「まずは絵本を通じて生態の事実を知ってもらい、ゴリラを好きになってほしい」と話す。
男の子と双子の女の子がシャバーニの家に遊びに行き、一緒にご飯を食べたり、歌ったりして楽しく過ごす物語。その中で、シャバーニの食事は1日5回で、バナナではなく野菜中心であることや、手をグーにして両手で地面をかくように歩くことなどゴリラの生態がわかるように工夫されている。東山動植物園が協力した。
7月下旬に発売された絵本は2500部が売れた。出版元の三恵社(名古屋市北区)の木全(きまた)哲也社長(62)は「絵本にしては相当早い売れ行き」と話す。価格は税別1400円。問い合わせは三恵社(052・915・5211)。(神野勇人)