元日本代表で、メキシコ五輪銅メダリストの片山洋さん=2018年6月25日午後3時36分、東京都目黒区、山本亮介撮影
サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会の日本の戦いぶりに、目を細める人がいる。元日本代表で1968年のメキシコ五輪銅メダリストの片山洋さん(78)=東京都目黒区。半世紀前、片山さんらが「世界」を目の当たりにし、成長の契機となった地で、日本代表が決勝トーナメントに臨む。
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「世界を相手に強いサッカーをしている」。今大会をテレビ観戦した片山さんは、感慨深そうに言った。
終戦直後、東京第一師範学校男子部付属小(現・東京学芸大付属世田谷小)時代にサッカーと出会った。「グラウンドは君たちの自由な表現の場だ」。教育実習に訪れた先輩の言葉に心を打たれ、のめりこんだ。慶大生だった60年、初めて日本代表に選ばれた。
64年東京五輪に向け、本格的なチーム強化に乗り出していたころ。全国から約100人のトップ選手が臨んだ合宿に呼ばれ、上位20人が名を連ねる欧州遠征組に抜擢(ばってき)された。「選ばれるとは思ってなくて、監督から名前を呼ばれた記憶がない」。一緒に参加した大学の同級生から「すごいことになったな」と言われ、身震いした。
60年夏、日本は約50日間の欧州遠征に出発。西ドイツ、スイスを経て、旧ソ連で対戦したクラブチーム「トルペド・モスクワ」に片山さんは衝撃を受けた。
旧ソ連は当時、56年メルボルン五輪や60年の欧州選手権で優勝するなど、黄金期を迎えていた。片山さんは試合には出場しなかったが「足の速い選手たちの鮮やかなパスワークがとにかくすごかった」。流れるような攻撃に手も足も出ず、0―8で敗戦。「これが世界の一流のサッカーか、と夢のような、恐ろしいような時間だった」
欧州遠征と言っても、専属シェ…