74年に発売した「アンメルツヨコヨコ」。塗り口の首を曲げ、肩や背中に塗りやすしたことがヒットにつながった(小林製薬提供)
1966年の発売から今年で50周年を迎える外用消炎鎮痛剤「アンメルツ」が、米国に進出することになった。販売を手がける小林製薬が1日、その足がかりとして米国の大衆薬会社を買収すると発表した。
小林が買収したのは米パーフェクタ・プロダクツで、買収額は非公表。「ジムズマックス」のブランドでスプレー型や貼るタイプの鎮痛剤を米国内で売っている。小林はアンメルツで培った液体型の鎮痛剤をパーフェクタ社の販売網を使って売る方針だ。ただ、商品名はアンメルツにせず、現地で知名度のあるジムズマックスにする可能性があるという。
アンメルツは「見えない肩こり薬」を目指して開発された。貼り薬が主流の時代に、貼り薬を肩にはってデートに出かけた小林の男性社員が「かっこ悪い」と言われ、振られた経験が誕生のきっかけだ。「孫の手」をヒントに容器を曲げて首や背中に塗りやすくした「アンメルツヨコヨコ」(74年発売)がヒットして、国内での累計販売本数は2億本を超える。
海外展開は69年、香港、台湾で売り始めてからだ。現在、東南アジアを中心に8カ国・地域でも「アンメルツ」ブランドで売っており、すでに販売本数の半分は海外だ。米国の鎮痛剤の市場は日本とほぼ同じ規模の年700億円前後とされるが、小林は承認の厳しさなどもあり、これまで進出してこなかった。(伊沢友之)