例年と比べると、今年の北京国際映画祭は盛り上がりに欠けるようにも見える。例えば、上映される映画の数は昨年の約500作品から約300作品に減り、各種イベントにも例年のような賑やかさはない。しかし、映画ファンの熱意は決して冷めておらず、チケット発売からわずか10分ほどで、72%の作品のチケットが完売となった。中国新聞網が報じた。
今年の北京国際映画祭の作品上映は、オンライン上映、テレビ放映、映画館上映、野外上映の4スタイルで行われ、中国国内外の映画約300作品が上映される。野外上映は今回の目玉で、海淀区中間芸術区などの屋外エリアで「廬山恋(Romance on Lushan Mountain)」、「ニュー・シネマ・パラダイス」、「ウンディーネ」など中国国内外の映画24作品が上映される。
例年の北京国際映画祭では、映画館での上映は映画ファンが最も注目するイベントで、そのチケット争奪戦は春節(旧正月)の時期の列車チケット争奪戦に匹敵するほど熾烈になる。今年は映画館で上映される作品の数こそ例年より少ないものの、そのクオリティは全く下がっていない。例年と同じく、今年も巨匠監督作品特集が不可欠な部門となっている。今年はちょうどフランスの巨匠・エリック・ロメール監督生誕100周年に当たり、北京国際映画祭には「ロメール監督特集」が設置され、「コレクションする女」や「モード家の一夜」、「緑の光線」など6作品が上映される。6作品のチケットはチケット発売当日に全て完売した。
近年、名作の再上映がトレンドとなっており、今年再上映された「ハリー・ポッターと賢者の石」や「インターステラー」などの興行収入は1億元(1元は約15.3円)を超えた。北京国際映画祭でも名作再上映が今年人気の部門となっており、「地獄の黙示録」や「戦争と平和」、「ニュー・シネマ・パラダイス」、「マトリックス」3部作などが、チケット完売最速作品トップ10に入っている。
また今年は、「女性」をテーマにした作品が注目を集めている。北京国際映画祭では今年から「女性の声」部門が新設された。同部門では昨年大ヒットした「82年生まれ、キム・ジヨン」と「熱帯雨(Wet Season)」、2010年の「ハウスメイド 」など9作品が上映される。うち、中国のドキュメンタリー映画「掬水月在手(Like the Dyer's Hand)」は、金爵賞・ドキュメンタリー部門にもノミネートされている。「掬水月在手」と「熱帯雨」のチケットは既に完売となっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年8月21日