2026年のアジア競技大会の共催を愛知県と目指してきた名古屋市の河村たかし市長は、5日の記者会見で「立候補を取り下げる」と発表した。県との間で大会経費や負担割合が折り合わないことを理由に挙げた。一方、県は「引き続き市と協議する」としている。
アジア大会の開催地は25日のアジア・オリンピック評議会(OCA)総会で決まる可能性がある。それまでに市の負担割合を説明することが難しい状況となったとして、河村氏は「市民や議会への説明責任が果たせない。立候補を取り下げ、県との共催をいったん白紙に戻す」と述べた。すでに日本オリンピック委員会(JOC)に通知したという。
市は8月25日、選手村整備を含めた大会全体経費を850億円、県市負担割合は2対1、と県に提案。大会経費や負担割合が確定しない場合は、市はOCA総会に出席できないと伝えたという。だが県との折り合いはつかず、共催の白紙撤回を決めた。河村氏は「交渉のドアを閉じるつもりはない」と、市の提案が受け入れられた場合、改めて共催を検討する方針だ。
一方、愛知県の大村秀章知事は5日の記者会見で「事前に何の連絡もなかった」と驚きを表明。「県と市の共催でないとできないと思う。引き続き協議・調整する」と述べた。
県と市は5月、開催都市としての立候補意思表明書をJOCに提出。他に立候補はなく、日本の候補地に決まった。